普通のクルマは生産終了から15年ほどで消耗部品以外の補修部品の供給が途絶えてしまう。これは金型の維持管理や部品の在庫などを考えると仕方がないところだ。
わずかに残ったクルマのために部品を在庫していると、自動車メーカーの採算を圧迫するから、部品の在庫が切れた段階で再生産せずに廃番となってしまうケースが多いのである。
それに対してミニは、自動車メーカーとしてのローバーが消滅してしまった現在でも、BMC時代のパーツですら手に入る。それは英国の自動車文化とパーツメーカーの体制が関係している。
英国にはブリティッシュ・モーター・ヘリテージという組織があり、かつての名車たちの部品供給を行うと共に当時の設計図など生産に必要なデータを認定業者に与えるなど、部品を作り続ける体制を維持する努力を続けているのだ。

こうした姿勢は日本も見習ってほしいほど。日本の自動車メーカーも旧車の部品を再生産したり、レストアを行なってくれるところもあるが、まだまだ限定的だ。
英国は自動車メーカーが消滅しても、文化として国や民間企業が協力して名車たちを残し、利用し続けるための環境を維持してくれているのである。
だからMkIのホワイトボディも未だに手に入る。すべての仕様のボディパネルが用意されている訳ではないが、組み合わせたり加工することでレストアに使えるよう工夫されているのだ。
さらに最近、英国ではシリンダーブロックやシリンダーヘッド、ミッションケースなど部品として供給されていないパーツも再生産される動きを見せている。そうなってくるとまさに完全に新品の部品だけでミニが組み立てられることも可能になってくるのだ。
ミニはこれからも英国と日本を中心に、世界中で愛され続けるクルマであり続けそうだ。