クラシックミニはボディが小さいだけでなく、ボディの鉄板が比較的厚い。これによってエンジンの振動や走行中の衝撃を受け止めて、いい感じの揺れ具合が何とも言えないミニらしい乗り味へと整えてくれている。
それにはサブフレームや足回りのゴム類がちゃんとしていて、サスペンションやタイヤの機能もしっかりと確保しているコンディションであるからこそ、実現できていることが大事だ。
しかし現代の交通状況や1.3LでクーラーやATなどで重くなったパワーユニットのため、車体にかかるストレスも大きくなっている。そのためマウントゴムやラバーコーンスプリングの状態が悪くなると、車体にはダメージが蓄積されるのだ。
それはサブフレームやボディへのクラック、溶接部分の剥離といったカタチでミニを蝕んでいくのだ。それでも軽症であればまだ大丈夫。クラックや剥離部分を溶接し、補強してゴム類などを新品に交換することで、再びミニらしい気持ちいい走りを取り戻すことができる。

ところが、日常的に走行していると少しずつダメージが蓄積されていくことに、オーナーはなかなか気付きにくい。そのため、ミニ専門店に持ち込んで点検してもらうことで、深刻なトラブルが発生していることを指摘されることも多いのだ。
セブンカーズでは続出するトラブル車両に補強や交換を実施
実際、最近は車検や修理で入庫するミニにサブフレームにクラックが発生しているというトラブルが続出しているというのである。
愛知県小牧市のATミニ専門店セブンカーズの青木社長は、クラシックミニのサブフレームへのクラック多発に対する対策を語ってくれた。

「片側だけクラックが発生しているモノは溶接して修理します。しかし両側にクラックが入っているモノは歪みが大きいので、もう修理せずにサブフレームを新品に交換します」。
青木社長はそう言って修理したサブフレームと共に、縮んでカチカチになってしまったラバコンと新品のラバコンを見せてくれた。何度も見たことがある劣化したラバコンだけれど、改めて見て新品と比べて見ると、その変形ぶりには驚く。

ハイローキットで車高の調整はできるけれど、サスペンションとしての機能が回復する訳ではないから、定期的に新品に交換しなければならない。セブンカーズではコイルスプリングとビルシュタインの純正互換ダンパーの組み合わせを推奨している。
キングスロード名古屋ではリプロダクト時にしっかり対策!
リプロダクトされたクラシックミニをオートクチュールミニとして販売するキングスロード名古屋でもサブフレームの修理と補強は定番化しているという。
「本来、溶接で接合されているサブフレームですけど溶接部分が足りないので、部材が重なっているほとんどの部分を溶接して強化しています」と後藤社長。
ストラットタワー以外もメンバーのあらゆる接合部が丁寧に溶接で補強されていた。こうすることでミニはしっかりとした剛性感を放ち、快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを満喫できるのだ。

放っておくとクラックはどんどん広がり、ボディにまでダメージが及んでしまうこともある。スカットル部分にクラックが入り走行不能(と言ってもオーナーは自走して来店したらしいが)になったミニもあるそうだ。
予防手段は点検と強化マウントやサスペンションのコンディションを維持していくこと。ラバコンであれば硬化してしまうとサブフレームに衝撃が伝わりやすく、インナーフェンダーにもクラックが入ってしまうことも。
クラシックミニを日常的に走らせて楽しむことは、長年の疲労の蓄積によるダメージから守ってやることも考えなくてはならないのだ。ぜひミニ専門店でしっかりと点検してもらうことをお勧めする。








