ミニは振動があるから楽しい。エンジンの鼓動、ピョコピョコとした乗り心地など、ミニらしい乗り味を楽しんでいるオーナーは多い。
でも実は要らない振動、不快な振動もある。それを放っておくのは我慢すればいいだけじゃなく、ボディやサブフレームなどへのダメージとして蓄積してしまうことに注意が必要だ。
そこで組み込みたいのが制振ワッシャーなのである。制振鋼材にはいくつか種類があるが、ボディ鋼板などに用いられるのは樹脂をサンドイッチしたもので制振鋼板と呼ばれ振動を吸収し静粛性を高める効果がある。ただしこれは新車でボディパネルの一部に使われるもので、ミニには縁のない素材だ。
最近のクルマはボディパネルを薄くしながら、ドアなどの開閉音を静かにして共振を抑えるために制振鋼板を使っているが、ミニの場合はボディパネルが小さく、しかも丸みがあって強度が高く、厚みも十分なので制振鋼板が新車当時存在した(制振鋼板は1980年代から使われている)としても、使うメリットはあまりなかっただろう。
それとは別に制振合金という素材もある。こちらは金属そのものが振動を吸収する特性が高いもので、大同特殊鋼という企業のスターサイレントD2052や旧科学技術省金属材料研究所が開発したM2952という素材が有名だ。
どちらもマンガンをベースに銅やニッケル、鉄を添加したもので、配合が異なるものの、特性は非常に似ている。
シートレールやサブフレームの締結部分にこの制振合金ワッシャーを組み込むと、驚くほど振動が減って静粛性も高まり、快適性がアップするのだ。
と言ってもミニらしい振動はほとんど減ることはない。なぜなら制振合金が減らせるのは気付きにくい高周波の振動で、人が振動として感じるような低中波の振動は減衰しにくいからだ。
心地よい振動はそのままに雑味を取り除くようなイメージ、と言えば伝わるだろうか。実は高周波の振動は、その後に伝わる部品によって減衰されて振動や騒音となって乗員に伝わる。だから雑味と表現したのだ。
この制振ワッシャーはミニに限った話ではなく、どんなクルマにも有効なのだが、特にミニには効果的だから、ここで紹介するのだ。ミニ専門店でも定番パーツとして扱っているところも少なくない。
制振ワッシャーをミニに組み込めば、ミニの乗り味がより深く楽しめる。しかもボディに優しい。ミニを労わりたいのであれば、試してほしい。
ミニには定番の改善パーツがある! その7 制振ワッシャー
