広義では初期のモーリス・ミニ・マイナー/オースチン・セブンからインジェクションミニまで全てをクラシックミニに含まれるが、クラシックミニの中でも前期、中期、後期に大きく分けることができる。
前期とは1959年のMkIから1978年のMkIIIまでであり、これらの希少価値の高さからビンテージミニと呼んで区別することもある。つまりビンテージミニ<クラシックミニということになる。
そして1979年から1989年までのミニ1000が中期となり、現在はこの年代のミニも非常に数が少なくなっている。日本車やアメ車、欧州車でも、この時期のクルマはほとんどがスクラップ行きとなってしまい、現存する個体は極めて少ない。
厳密にはMkIIIでボディは大きく作り替えられているから、MkIとMkIIだけは別格扱いとなる。MkIIIは最終モデルとなるインジェクションミニと共通した部分もあるが、ボディの仕上げや内装の作りなどはMkIIIの方が丁寧で凝っている。
ビンテージミニは中期以降のミニと比べてコストダウンされていない分、丁寧に作られているが、技術面では稚拙な部分もある。電装系や燃料系、ブレーキなどはインジェクションミニの方が断然優れている。
ただしMkIIまでのクーパーやクーパーSとなると、話は別だ。A型エンジンをベースとしながらエンジンブロックも素材から見直された強靭なものとなっている。クランクシャフトもクーパーSはF1用エンジンと同じクロモリ鋼を使った鍛造性とするなど、当時の最高技術を奢っている。



一方、MkIでもスタンダードな850や長モノと呼ばれるエステートモデルやバン、ピックアップなどは高度な技術や贅沢な装備は盛り込まれてはいない。けれどもシンプルで丁寧な作りは見ても乗っても味わい深いものだ。
希少性は高く、エンジンやボディも入念に作られているビンテージミニだけれど、基本的にクーラーは付かないし、維持にもそれなりの環境や費用が必要だ。
すなわちビンテージミニは、ミニ好きでも本当にマニア中のマニアだけが維持できる特別で貴重なミニなのである。