BMWミニ(2001年以降の「ニュー・ミニ」)とクラシックミニ(1959年~2000年まで生産されたオリジナルのミニ)は、外見こそ似ているものの、設計思想、構造、技術レベルがまったく異なるクルマです。それに伴い、「壊れやすさ」や「メンテナンス性」に関しても大きな違いがあります。
クラシックミニの壊れやすさとは
クラシックミニは、1959年にイギリスのBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)によって開発、生産が開始されました。シンプルな構造と小型・軽量なボディで人気を博しましたが、その設計は現代の基準からすると当然ながら非常に旧式であり、信頼性や耐久性に関しては「趣味の車」の域を出ない面があります。
まず、クラシックミニはサビやすさが大きな問題です。特に97年式以降では防錆処理が不十分なため、日本の湿気の多い環境ではフロアやサブフレーム、ドア裏側などがサビやすく、定期的な点検と補修が必要です。


また、電装系のトラブルも頻繁です。ルーカス製の電装品(イギリス車では悪名高い)が使われており、ウィンカーやヘッドライトが突然点かなくなる、ヒューズが飛ぶといった問題が起こることがあります。ただし、こうした電装部品のいくつかは日本で生産されて改良されているものもあります。
これに加え、キャブレター、あるいはインジェクションなどの燃料供給システムや冷却系もメンテナンスが不可欠で、定期的なオーバーホールが求められます。
つまり、クラシックミニは「壊れやすい」というよりも、「維持にはコマメな手入れが必要」という性質を持ったクルマと言えるでしょう。したがってミニ専門店でメンテナンスやアドバイスを受けることが非常に重要なのです。
BMWミニの壊れやすさとは
一方、BMWミニは、BMWが開発・販売する現代的なコンパクトカーであり、安全性、快適性、走行性能を高次元で融合しています。構造もモジュール構造の部品が組み合わされ、電子制御も高度化されており、クラシックミニとはまったく異なるクルマです。

ただし、BMWミニは一部で「電装系のトラブル」や「オイル漏れ」「タイミングチェーンの伸び」などの持病が指摘されています。特に初期型のR50型(2001~2006年)や二代目のR56型(2006~2013年)では、オイル消費量が多く、適切な管理を怠るとエンジンブローに繋がるケースもあります。


また、現代のクルマであるがゆえに、一つトラブルが起きると高額な修理費につながるという点も見逃せません。モジュール構造で部品管理を軽減した分、あらゆる部品代が高くなっています。電子制御部品が多いため、診断機を使わないと原因が特定できないことも多く、DIYでの修理は困難です。純正部品の価格も高く、ディーラーでの整備費用はクラシックミニよりかなり高額になりがちです。
つまり、「壊れやすい」というより「壊れたときのコストが高い」というのがBMWミニの特徴です。
どちらが壊れやすいのか?
壊れやすさをどう定義するかにもよりますが絶対的なトラブルの頻度でいえば、クラシックミニの方が明らかに多くの手間がかかります。車体の設計が古く、日常の足として使うには細かい整備が常に必要です。
しかし日本は車検や法定点検など自動車整備の環境が整っているので、ミニ専門店で定期的なメンテナンスを受けるだけで、故障率はグッと下がります。半年ごとのエンジンオイル交換時に点検してもらうことで故障知らずというオーナーも少なくありません。
一方、BMWミニは設計が新しく、日常使用に耐える信頼性は持っていますが、5年を経過すると部品の故障率が高まる傾向にあります。また、ひとたび壊れると高額な修理費がかかる、というリスクがあります。
総合的に見ると、クラシックミニは「壊れやすいけれど直しやすい」、BMWミニは「壊れにくいけれど壊れたときが高くつく」という評価になります。
クラシックミニは、愛情を注ぎながら維持する趣味の車。BMWミニは、現代の技術とデザインを融合させた実用車です。「壊れやすさ」だけを比べればクラシックミニに軍配が上がります。クラシックミニは長く付き合えるクルマですが、BMWミニは部品の供給がストップしてしまうと乗り続けるのは難しくなるでしょう。
現在の中古車価格の安さが、BMWミニの価値を表しているとも言えます。ただしクラシックミニは価格が高騰しており、維持にもそれなりの費用がかかるクルマだと認識しておく必要があります。