名古屋の住宅街の奥に、こんな素敵なガレージがあることが想像できるだろうか。それくらい、唐突な現れ方をする。そして扉を開ければ、そこには大型SUVと一緒に、サーフブルーのミニが鎮座している。その佇まいが何とも可愛らしい。


「子供の手が離れた時、もう高校生になった頃かな。自分のクルマも別にあったんですけど、もう 1台欲しいなということで懐かしさもあって、このミニを購入しました。東名高速の名古屋インター近くにローバーのディーラーがありましてね。ヘリテージのこのサーフブルーがあったので、これにひと目惚れしちゃって買ったんですよ」。
そう語るのは牧野直一さん。なんとサーフブルーのペイント自体は、新車のままの塗装なのだとか。ガレージ保管と日頃の手入れで、まったく衰えを感じさせない。
実は牧野さん、このミニは97年に新車で購入したものの、ディーラーには一度もメンテナンスに出したことはないそうだ。オープン間もないキングスロード名古屋にすべてのメンテナンスを任せており、最初の車検もキングスロードで取得して、その翌年には現在のMkI仕様へのモディファイを依頼したそうだ。


「MkI仕様にするときにルーフをボディと同色にして、トランクパネルも板金したので塗装してもらいました」。それから現在まで塗装の手直しなどは行われていない。雨天走行などの後は、水滴を拭き取るなど水垢対策などもしているので、25年前(新車時の塗装はさらに3、4年前だ)の塗装でも非常に美しく光沢を放っている。
「これが1台目のミニで、もう1台はミニのレースを楽しむために手に入れました。それで、仲間と数々のレースを楽しんで、60歳でレースからは引退しました。もうミニのレースはね、みんなあちこちぶつけちゃ直してみたいな感じで、面白かったですね。



ガレージ奥にはズラリとトロフィーが並び、過去のレースでの輝かしい戦績を物語る。「コンビを組んだ相方ドライバーが頑張ってくれただけ」と謙遜するが、牧野さんもステアリングを握ったのだから、勝利に貢献したのは間違いない。
今でも応援や手伝いのためにサーキットには顔を出すそうだ。これまでのレースの思い出も、このガレージに詰まっている。ホーロー看板やオイル缶、ポスターなどのオートモビリアもセンス良い。


現在75歳の牧野さん、大病を経験したとは思えないほどお元気。ミニを磨くのはキングスロードで勧められたポリラックだ。
現在はミニでキングスロード名古屋のツーリングに参加するほか、 1週間に 1回は近場で通うために運転し、パワートレーンのコンディション維持に利用しているそうだ。
最近、隣接する自宅を息子さんご家族と二世帯住宅で同居しているため、ガレージにはお孫さんの遊び道具やジュニアシート、家族の自転車なども収められ、その混沌ぶりがなんとも賑やかで独特の雰囲気を醸し出す。
この素敵なガレージでトロフィーに囲まれているだけでも、もう思い出に浸れるのだろう。ミニは何歳からでも、いつまでも楽しめる。そう思わせてくれる牧野さんのガレージであった。