97年式以降のインジェクションミニは、バリエーションやパワートレインは完成の域に達しているけれど、その反動としてコストダウンされている部分もあった。
と言うのもその頃のローバーは、日本のためにミニを生産していたと言っていいくらいクルマの生産台数も少なかった。しかしほかに稼ぐ方法がなかったため、人気を高めつつ利益を出すためにミニの限定車を連発しながら、見えない部分は手間を省くことでコストダウンをしていたのだ。
「ホラ、見てよこれ。ここまで錆びちゃうとドアのアウターパネルはもう使い物にならない。でもドア丸ごと交換だと部品代だけで17万円くらいするので、ちょっと高すぎるよね。だからアウターパネルだけ交換するんだよ」。そう語るのは埼玉・所沢でミニ専門店「ガレージ・プラウド」を営む佐々木代表だ。


メカニック兼レーシングドライバーとして、あのトムスからクラシックミニの道へ移り、専門店で修行後に独立。気さくで飾らない人柄と確かな技術、リーズナブルな価格設定で、常連客はもちろん、評判を聞いて他店で直らないミニを持ち込む新規ユーザーも多い、人気のミニ専門店を築いたのだ。
ドア2枚を丸ごと交換では工賃や塗装代などを含めると50万円くらい上昇してしまうので、アウターパネルだけを交換して、他は錆び取り&防錆処理して組み立て直すのである。
そして今回は、4年前に全塗装した松本康司さんのミニにラストストッパーを取り付けてもらうことに。まだサビは気になるほどではないが、僅かに出現しているので、気になっていたそうだ。
「この装置、取り付けられているミニは何台も見たけど、自分で取り付けるのは初めて」。というが佐々木代表は、ラストストッパーの仕組みと仕様を理解すると、松本さんのミニをジャッキアップして、トランク内からエンジンルームへと長い方のパルス線(約3m)を引いてしまった。




長いパルス線をできるだけ離れた場所に取り付けるために、前に配線を引っ張ってくるのもボディの外から回しているのだ。
クラミニ編集部ではクルマの前まで引っ張って接続するなら、サブフレームあたりに取り付けるのかと思っていたら、エンジンルームの上部にまでもってきた。
「サブフレームにつないじゃうと防錆効果は発揮できないよ。ボディをサビから守るモノだから、ボディにつけないと」と佐々木代表。エンジンを含んでミニ全体をサビから守りたいと思ったのだが、それは間違いだったようだ。
考えてみればサブフレームはラバーブッシュを介してボディにマウントされているため、導通は確保されていない。だからエンジンにはバルクヘッドと結ぶアースケーブルがあるのだ。
「ルーフの縁などにちょっとサビが出てしまっているので、このラストストッパーで進行を食い込めてほしいですね」と松本さん。弊誌では、今後も定期的に状態をレポートしていく予定だ。



バッテリーから電流を流していると、このラストストッパーによるバッテリー上がりが気になる人も多いのではないだろうか。しかし、このラストスッパーの消費電力は静電気並み、車載の時計程度でしかないそうだ。バッテリーから電流を流していると、このラストストッパーによるバッテリー上がりが気になる人も多いのではないだろうか。しかし、このラストスッパーの消費電力は静電気並み、車載の時計程度でしかないそうだ。
さらにバッテリーの電圧が一定以上に低下した場合、作動をストップさせるオートプロテクト機能も搭載しているから、これによるバッテリー上がりの心配も要らない。
ボディのサビが気になる程になってからでは遅すぎる。大切なミニを守るために、こうしたサビ対策は早ければ早いほどいいのだ。