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ミニには定番の改善パーツがある! その8 コイルスプリング

クラシックミニのサスペンションに用いられている純正のスプリングはゴムで作られた円錐状のラバーコーンスプリング(通称ラバコン)。

1970年代までのビンテージミニ時代までは、一部の車種にハイドロラスティックというゴムと液体を利用して前後サスを連結したスプリングを用いていた。これは「魔法の絨毯」と呼ばれるほど乗り心地は良かったが姿勢変化が大きく、スポーティな走りをするにはかなりのドライビングスキルが必要だった。

さらにコストの問題もあって、MkIIIクーパーSの生産終了を最後に、廃止されたのだった。だが、当初から用意されていたラバコンもミニには相性抜群のスプリングであった。

ミニのサスペンションはコンパクトにまとめられているのは、このラバコンを採用しているおかげと言ってもいい。

しかしミニも生産が続けられていく中で、クーラーやエアバッグ、ATなど装備が加わることで車重も増加。ただでさえフロント側の荷重が多いミニは、ますますフロントヘビーになり、前席しか乗車しないケースではフロントサスの負担は増すばかりだ。

ラバコンは潰れっぱなしになってしまうと、しなやかさを失い劣化もしていく。そこで日本で考えだされたのが、ラバコンを金属製のコイルスプリングに置き換えること。

前述の通り、ミニのサスペンションはコンパクトにまとめられているため、スプリングに与えられたスペースはとても小さい。だからこそ、小型でバネ特性が柔軟に変化するラバコンが採用されたのだ。

通常コイルスプリングをサスペンションに使うとなると長いスプリングをある程度縮めて装着する。しかしミニのスプリングのためのスペースは限られており、通常のコイルスプリングなど入る寸法ではない。

ところが日本のスプリングメーカーは、このミニの小さな足回りに収まるスプリングを開発したのである。日本でも2、3社しか、ミニ用のコイルスプリングを作れるところは存在しない、それくらい高度な技術が要求されるのだ。

すでに登場から15年ちかくが経過し、現在はいくつものブランドからミニ用のコイルスプリングがリリースされており、それぞれバネの強さも3、4種類から選べるようになっている。というのもラバコンと違い、コイルスプリングはストロークしてもバネの強さは変わらない(深く縮めば反発は強くなる)から、走り方や好みに合わせてバネの強さを選ぶ必要があるからだ。

つまり乗り心地重視なのか、スポーティな走り重視なのか、サーキットでのタイム重視なのかで、選ぶスプリングが変わってくるのである。スプリングを選んで、それにあった減衰力のダンパーを組み合わせれば、ミニの走りを堪能できる。

ではラバコンよりコイルスプリングの方が優れているのか、というとそれぞれにメリット/デメリットがある、というのが答えになるだろう。コイルスプリングはキチンと選んでセッティングしなければ本来の乗り味を発揮できず、底突きしてしまったら、ダンパーが負けてフワフワしているようでは、ミニの走りを存分に楽しめない。

一方、ラバコンはストローク量によってバネレートが累乗的に高くなっていく。最初はしなやかで、沈み込むほどに踏ん張る絶妙な特性だ。ただし、インジェクションミニは車重が重くなっているので、標準のラバコンではなく強化品、もしくはロングストロークと呼ばれるちょっと長めのラバコンを利用することをお勧めする。

新品のラバコンのしなやかな乗り味は、本当に気持ちのいいものだ。コイルスプリングもストローク感がいいが、一度新品ラバコンの乗り味も試してみてほしい。

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